安全確認よし。
左右上下からの奇襲に警戒しつつ、耳を塞ぎ速足で。
戦場の鉄則である。
ここは戦場。
マンションの廊下である。
夏の終わりといえば爆弾。
そう、蝉爆弾。
彼らの命の最後のあがき。
そのあがきは、時に人を…特に私をひどくビックリさせる。
サプライズとかいらないのよ。
私は極度の蝉爆弾恐怖症だ。
とにかく奇襲をやめてほしい。
ビックリするから。
これのせいでこの時期外に出る時はとにかく警戒している。
本気で戦場に赴く気持ちでマンションの廊下を歩いている。
ビックリ系ホラーが嫌いなのも同じ理由である。
ねちっこいホラー自体は結構好きだ。
突如現れる彼らへの有効策、それは耳を塞ぐ。
蝉の何が嫌って、音だ。
それなら耳を塞げばいいのだと、何年か前に気付いた。
まあそれくらい私にとって夏の終わりはサバイバルだという事だ。
「うわ、びっくりした〜」とかじゃなくて「いやああああうわああああ」とかになるんだよ。
生きるのって大変だ。