最近東北や北海道の熊被害がやばいよなぁと思う。
当然熊対策が進むわけだが、謎の熊愛護家によるクレームが足を引っ張っているのだろう。
おそらく彼らの熊のイメージは「テディベア」とか「くまのプーさん」であり「動物園のパンダ」的なイメージなのだろう。
確かにこれらの可愛いものたちを駆除となると愛護したい気持ちも分かるが、リアルの熊という生物はこんなに可愛らしいものではない。
でかい手足、鋭い爪、人間では敵わないパワー。
私は都市部育ちで熊が身近だったわけではないが、どこかの動物園で熊の手の模型が飾られているのを見た事がある。
これで襲われたらそりゃ死ぬわ。下手すりゃワンパンだな。そんな感想を抱いた。
さらに熊は足が速い。
すごいパワーの持ち主が原付ばりのスピードで走って襲いかかってくるわけである。死じゃん。やばすぎ。
もはやモンスターの一種である。
そんな私も熊愛護派だった頃がある。
といっても小学生くらいの話である。
『ミナクローと公平じいさん』という本を読んで「人間の都合で住む場所が減って殺されて…熊さんかわいそうだな」とぼんやり思っていたわけだ。
この本は確か読書感想文の課題図書にもなっていたはずだ。
今思うと結構偏った思想の本だったなと思わなくもない。
命の尊さを伝えるという観点からは価値があるとは思うが。
読み返してみる必要があるかもな。
で、多くの人間はこの感覚のままアップデートされてないんじゃないかなと思う。
だから「熊を殺すなんて可哀想」なんて訳のわからないクレームが止まないのだろう。
熊を殺すのは生存競争によるものであり、北海道や東北と熊との関係は「やるかやられるか」である。死活問題。
やらなかったら人間がやられる。
そんな戦場なのである。
よく「殺さないで撃退する方法もあるでしょ」「殺さず共存していく道を考えたい」と論じる人もいるが、それを現地の人たちが実践していないわけがない。
通用していたら今こんなに熊のニュースが世間を賑わせている事は無いだろう。熊もバカではない。
結局、命の危険を「分からせ」て人間の住む場所と熊の住む場所を明確にするのが1番効果的という事になるだろう。
映画『シン・ゴジラ』で、もし対ゴジラの対策案を必死で考えてるところに「いや、ゴジラだってただ歩いてるだけじゃん。攻撃するとか可哀想だよ」とか言い出す奴が出てきたら「は?何言ってんの?」となるだろう。
それと同じである。
熊を思いやる優しい心は素晴らしいとは思うが、もう少し人間の方にも目を向けてあげてほしい。
熊が出る地域の人にとっての「熊を殺すな」は「熊の代わりにお前らが死ね」と言われているのと同義だ。めちゃくちゃである。
とまあ、視野狭窄かつ自分勝手極まりない熊愛護クレーマーの人たちだが…。
おそらく「子供たちが実際に被害に遭った」「自分の住む地域に現れた」
これだけで一気に意見を翻すだろう。
「熊を殺すな」どころか「熊は一匹も残す事なく駆逐しろ」派に反転する事が容易に想像出来る。
彼らは感情のままに意見しているからだ。筋立った論理などそこには存在しない。
これには熊側もいい迷惑だろう。
実際東京都でも八王子の方には熊が時折出没している。普通に住宅街である。
「八王子はまあ東京の西側だし…」と思っている人もいるだろうが、八王子駅近くは普通に都市だ。繁華街もある。
そこでの生活を知った熊がどんどん市街地に侵入していく可能性は0とは言えない。
八王子から新宿までは40km程度しかない。
熊は1日数十km移動する場合もある。
他人事だと笑っていられるのも今のうちだろう。
人間や住宅街を恐れなくなった個体が「探検」する可能性だって無くはないのである。
この手の議論で「人間が熊の住む場所を奪ったんだから人間が悪い」という論調を振りかざす人がいるが、元来自然と隣接してきた地域では、古い時代から自然を尊重して共生してきた歴史がある。
ド派手に山を切り拓いてきたのは都市部の経済的活動によるものだろう。
この時点で地方と都会の断絶が生まれるわけだ。
ド派手に山を切り拓いてその恩恵を受けておきながら「実際の熊対策は地方のお前らでいい感じにやれ。ただし熊は殺すな。共存の道を探れ」は理不尽もいいところである。
ちなみにリアル熊へのイメージは『マタギ』などの本を読むといいと思う。
読んでないけど『羆嵐』という本も凄そうだ。
人気漫画『ゴールデンカムイ』も熊のヤバさが伝わってくるのでおすすめだ。
『ジョーズ』のイメージから、サメは危険でヤバいという認識を抱いている人は多いだろう。
それと似たような感じの『グリズリー』という熊映画もあるらしいが、配信対応していないのでなかなか見る機会が無いのが難点である。
こういうフィクション作品から理解を深めていくというのも大事だろう。
なんなら昔あった「三毛別羆事件」に関する記述を読んでみるのも手だ。
Wikipediaで読める。人食いグマの話だ。
まるでホラー小説の如きストーリーなのだが、恐ろしいことに実際に起こった話である。
