親に誘われて、上野のゴッホ展に行った。
ものすごい人だった。
入場まで待機列、入場してからもすごい人。
当日券の列もものすごい列が出来ていた。私はその横でオンラインチケットをさくっと取ったが。
やはりゴッホは人気らしい。
中の展示は、普段なかなかお目にかかれないような作品がちらほらあって楽しかった。
知らない画家の作品もあった。
ゴッホってこんな絵も描いてたんだなぁ…みたいな作品が多々あった。
それにしても、わずか10年で随分たくさんの絵を描いている。
その原動力は一体。
いや、彼は元々すごくエネルギッシュな人間だったのではないか?と思う。
だが社会は彼に見向きもしなかった。画家になる前も職業を転々としているが、上手くいっていない。
が、彼は世間には絶対に迎合しようとはしなかった。とにかく不器用な人だ。
結局27歳から画家になるわけだが、彼が生きている間に絵はほとんど売れなかった。
ただ、これは弟テオの存在が非常に大きかったのではないかと思う。
テオは優秀な画商だったので、当然業界の最新の流行などを熟知していた。
そして兄のことをとても大切に思っていたし、才能も認めていた。
おそらく兄が魂を込めて描いた絵が雑に消化されるような事に、耐えられなかったのではないかと思う。業界の人間だからこそ分かる実情。
だからこそ大々的に売り出そうとせずに、信頼出来る顧客に細々と持ちかけたりしていたのではないだろうか。
その結果絵はほぼ売れず、ゴッホ(フィンセント)はどんどん追い詰められていった。
酒に溺れたりもしていた。
おそらく弟のテオに迷惑をかけている事をものすごく引け目に感じていたのではないかと思う。
彼が自殺したと言われているタイミングは、テオと妻のヨーに子供が生まれて間もない頃である。
フィンセントは弟が大切だったからこそ「これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。この家庭を自分のせいで不幸にしてしまってはいけない」と考えたのではないだろうか。
だから「自分の事など気にせずテオには幸せになってほしい」
そういう思いで引き金を引いたのではないかなと。
だがその兄の想いは、完全に裏目になってしまったのではないだろうか。
これまで兄の事もかなり大事にしつつ、彼の絵に感銘を受け続けてきたテオ。
その兄が突然死んでしまった。
テオはおそらく考えたはずだ。
「自分のせいで兄は死んだのでは?」と。
ただ、テオは全く悪くない。
おそらく他の「商品」と同じように兄の絵を売り出したとして、フィンセントが怒るか、才能を潰されるか、傷つくかしていた可能性は高い。
これはただの妄想に過ぎないが、このシナリオはあまりにも悲劇ではないだろうか。
誰が悪いわけでもない。
ただ、この兄弟は少しばかり繊細すぎた。
お互いの事を何よりも大事だと思っていたからこその悲劇。
そう考えると、残されたテオの妻ヨーは随分強い女性だったなと思う。
義兄も夫も死に、不意に相続する事になった大量の絵画たち。
その絵をもって展覧会を成功させている。
こうして後の世でゴッホが世界的画家になるきっかけを作ったのは、彼女と言えよう。
改めてゴッホに想いを馳せるいい機会だった。
併設していた刺繍展も面白かった。
ゴッホ展のチケットがあればそのまま入れるような感じだったのだが、後日こちらだけもう一度見に行ってもいいレベルだ。
刺繍というか、刺繍で絵画を表現してみた作品が主に展示されていた。
まさに芸術。ずっと「すごい」となっていた。
私も昔手芸キットでサテンステッチの動物イラストブローチを作った事がある。
小さなブローチだけでも相当な労力だったのに、このどでかい作品は一体どれだけの時間をかけて作られたものなのか。
刺繍もずっとやりたいと思ってるんだけどなぁ。
帰宅してからは爆睡したり2本もブログ記事を仕上げたりした。
最近新しくDiscordサーバーを作ったのだが、その紹介記事を書いてみた。
テーマは「今のインターネットのストレス要素を極力排除し、本当にゆるく静かに交流出来る」場所。
言わば一人で過ごすのは好きだが、ずっと独りがいいわけでもない人向けのサーバーとも言えるかもしれない。
気まぐれに、見たい時にだけ覗いても許されるような場所。
記事を読んでみて、合いそうだと思ったらぜひ気軽に入ってみてほしい。
